カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
あいつ…


有田さえいなければ…


俺らは、母さんは…








救われる…のか?!







鳴り響く音を背に俺は、ゆっくりと弟、妹のそばへいき、しっかりと抱きしめた。






「にいちゃん、これから、有田と、話しするからさ。お前達…
押し入れに入っとけ…
な?

どんな音がしても、出てくんなよ?
いいな?
兄ちゃんと約束だからな」






泣きじゃくる二人を一人一人抱きしめる。




もう…会えないかもしれないな。



そんな思いで大切な、弟、妹を抱きしめた。







「おにぃちゃん…いっちゃヤダよ」





泣きながら妹が縋り付く。





「大丈夫!いつだって、兄ちゃん一緒だったろ?ちょっと話すだけだからな?心配すんな」





安心させるように、言ったものの、実際は自分への励ましだった。





二人を押し入れに隠し、俺はゆっくり、鞄に隠し持っていた、サバイバルナイフを…




取り出した。








舞…ごめんな…


約束…



守れそうにもないな…








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