カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
「ねぇ…みんな聞いた?
こいつ、私の男盗った癖にさ、しかも、別れないとか言うのよね~
借りたら、返すの常識じゃん?
このずうずうしい奴どうしようか?」


佳子はみんなに意見を聞いてるふりをしながら、目は私を見下している。




こいつ…

本当に人間なんだろか…

だとしたら、人のツラを被った。
鬼だ!!!



「だとさ!この売女!」



仲間の女が一人金切り声を上げ、私を突き飛ばす。


突き飛ばされた反動で、私は後ろへと机に崩れ落ちる。

ガタガタと机は将棋の駒ように音をたてていた。


「寝るのは早いよ?やり子ちゃん。」



また違う仲間が私の髪を引っ張りながら、横っ腹を蹴る。

今度は教台までよろける。


余りの痛さに私は叫んだ。



「痛い!止めて!」


するともう一人の仲間が、腹を抱え込む私の頭に足を蹴り落とす。


「別れるなら止めてやるよ。」



言葉と同時に虫けらの様に私ははいつくばる。



「う゛…嫌だ別れないから!」


「随分辛そうね…別れるなら痛くないのに」
佳子はそういいながら、私の頭をぐりぐり踏みつける。


「い゛…や゛…だ!」

「あは?聞こえねぇな?」



誰かが更にはいつくばる私の手足、背中を何度も踏みつける。

何度も

何度も。




そからは、この四人はブレーキの効かない暴走列車の様に暴行を続けていた。






痛いよ…


カズキ…

こんなの嫌だよ…


助けてよ…



カズキ!









…助けてよ!




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