カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
「あれ?舞何処行くの?」


ユキの黒い大きな瞳が笑いかけてきた。


「うん。カズキ探しに行くんだ。」

「マジで?一緒に行くよ?」

「アユミちゃんも居るけどいい?」


その言葉と同時に、アユミはユキにニッコリ笑いかけていた。



「別に構わないけど?
つかさ、杉村さん。
カズキの事であんまり関わらないほうがいいよ?」


その言葉に、アユミの顔から笑顔が消えていき、たちまち眉間にシワを寄せはじめた。


「どう言う事?」

「親切なのは有り難いけどネ」


そう言ったユキはとたんに、小さい声でアユミの耳元で何かを囁いていた。

すると直ぐさま、アユミの顔が青ざめるのが見え、アユミは無言で、元の席へ足早に戻っていた。

ユキはクスクスと、その様子を少し意地悪そうな感じで見ている。


「どうしたの?ユキらしくないね?」

「別に?早く行こう?」



少し機嫌が悪いのか、乱暴な感じで歩きだした。


「ユキ?アユミちゃんになんて言ったの?」

するとユキは、足を止め振り向きながら私にウィンクをした。



「佳子に狙われるよ」





< 256 / 284 >

この作品をシェア

pagetop