カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
カズキは、お腹の色を見て


一瞬私を見て、

直ぐさま、私のお腹に目を向けていた。






「痛いそうだな…
かなり痛むだろ?
シュンさん容赦ないからなぁ…」

「うん…痛いけど…
カズキに比べたら…」

「ばっかだなぁ。
俺なんてどうでもよかったのによ」

「だって…カズキ死んじゃうと思って…」

「俺なんて死んだってかまわねぇよ。いい事ねぇしな。」

「変な事言わないでよ」





なんだか悲しくて、鼻の奥がツーンとしてくる。




「チビ。お前…くだらねぇ事で泣くなよぉ。
私物無くなったぐらいで泣かないお前がさ」





え?…知ってたんだ…






「すげぇたち、わりぃよな?それに耐えている、お前。偉いよな。そのうち犯人探してやっからな。」



頭をクシャリと撫でた。





私は、カズキの優しさでよけい涙が止まらなかった。





「泣くなくよ…なっ?」

「うん…だばぁっでぇ。
うれじぐでぇ。」


「アハハ。ヨシヨシ。 本当お前…目が離せないよな。」



そう言って私を抱き寄せた。



 カズキの腕は、あたたかで心地がよかった。













< 73 / 284 >

この作品をシェア

pagetop