今日も君思ふ
4月
入学式の悲劇
入学式当日。
私は絶望した。
「和子先生、横のところにすわってたよなー。」
「なー。もしかして担任持つかも。髪の毛切ってたし。」
入学式の帰り道、同じく信号待ちをしていた男子たちの会話を聞いた私は、一瞬頭が真っ白になった。
新中学3年生は毎年入学式で、新入生の前で合唱を披露する。
私は、何故だがよく分からないけれど、学年主任の音楽の先生に気に入られて(?)いて、先生の推薦で、ソプラノのソリストをやっていた。
ソリストは合唱台には上がらず、指揮者の目の前の目立つところに立っていたので、あまり周りをキョロキョロすることができなかった。
だから、新一年生の先生方の席に和子先生が、座ってるなんて思ってもいなかった。
確かに。春休みの登校日にはいなかったし、今日の練習にもいなかったけどさ。
だけど学年が違ったらもうお話しできなくなっちゃうな.…。
< 1 / 19 >