H! SCHOOL LOVE
「一体何なんですか?」
彼は私と机を挟んだ反対側で止まると
「君に…用があるんです…」
顔を少しだけ上げて、さっきよりは少しだけ大きな声でそう言った彼。
「私に?」
用?
彼はしっかり顔を上げ、私の目を見ると、大きな声で言った。
「僕の好きな人を描いて下さい」
つまり…。
「私に好きな人の絵を描いて欲しいって事ですか?」
私が目を合わすと、彼はあわてたように私から目をそらし
「お願いします…」
頭を下げて、今にも消えてしまいそうなほどのかすれた声で、私に頼んだ。
頼まれても
「あの」

「美術室の人じゃないですよ?」
そう。私は美術室で絵を描いているってだけだ。
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