桜の季節、またふたりで
夕方まで図書館で過ごし、スーパーに寄ってから帰宅する。


母親はすでに出勤していて、顔を見ることはない。


高校からまっすぐ帰れば、母親と話すこともできるのに。


今の私には、どうしてもそれができない。


簡単な夕食を一人ですませてお風呂に入ってから、図書館で借りた本を読む。


テレビはないから、見ることはない。


こうして、私の退屈な毎日は過ぎてゆく。



翌朝起きて、バイトへ行く支度をする。


夜勤の仕事をしている母親は、まだ帰ってきていない。


洗濯機をまわして、バイト先で食べる分と朝食分のおにぎりを作って、部屋干しする。


もう何年も同じようなことを繰り返しているからか、自分でも動きにムダがないと思う。


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