桜の季節、またふたりで
竣くん、嘘ついてる。


昨日の様子は、仕事が忙しいんじゃなくて、何かあった感じだったのに。


本当のことは、年下で学生で子どもの私には話してくれないんだ。


私なんて、頼りにならないから?


話しても、何も変わらないから?


仕事関係ってことは間違いないんだろうけど、何も助けにならなくても、話を聞くことはできるのに。


竣くん、私には『何でも言えよ』って言ってたのに。


私には、何でも言ってくれるわけじゃないんだね。


私は、メールに返事もしないで、高校に向かった。


教室にいたまどかに、


「日曜の午後、バイト代わってくれる?」


いきなり伝えた。


「おはよ、美春。


五十嵐さん、オッケーしてくれたんだ?」


「・・・うん、行っていいって」


「そっか、ならいいよ。


いきなり言うから、ビックリだよ」


「あっごめん、おはようまどか」


「遅いっつーの」


まどかは笑っていたけど、私の嘘に気づいていたのかもしれない。



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