桜の季節、またふたりで
今日は、図書館で斉藤さんに会う日だから、返事はその時にすればいい。


バイト先にも連絡したし、あとは竣くんに話すだけなんだけど。


意地をはってメールに返事をしなかったし、ものすごく言いづらくなってしまった。


図書館へ向かう途中に整備工場をのぞいたけど、シャッターが半分閉まっていた。


最後の賭けで、その場で竣くんに電話したけど、やっぱり出なかった。



斉藤さんに会うなり、


「日曜の午後なら行けます」


と言ったら、


「ほんとに?


よかった、じゃあ正門前に14時でどうかな?」


斉藤さんは、とても嬉しそうだった。



勉強を終えてからの帰り道、斉藤さんに聞かれた。


「美春ちゃん、彼氏に俺と行くこと話したの?」


「・・・えっと、まあ、そうです」


「そっか、話してないんだ。


まあ、いいけどさ」


この小さな嘘が、あとで大きくふくらんでしまうなんて、この時は思ってもいなかった。


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