桜の季節、またふたりで
「なにそれ・・・」


「もういい、帰る」


竣くんは、車に乗って帰ってしまった。


一人残された私は、さみしさに押しつぶされそうになった。


大学祭のことを話さなかった私も悪いけど。


竣くんは、斉藤さんのことを勘違いしてると思う。


何もなかったんだから、勘ぐる必要なんてないのに。


そう思った直後、もし逆の立場だったら、って想像した。


もし、竣くんが仕事の関係で女の人と半日一緒に過ごすことを話してくれなかったから。


そして、二人で歩いているところを目撃したら。


・・・ヤキモチ、焼くと思う。


あることないこと、想像しちゃうと思う。


竣くんはきっと、私が想像している以上に苦しんでるんだろうな。


『竣くん、ごめんね』


精一杯の気持ちをこめて、メールを送信した。


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