桜の季節、またふたりで
入院中、いろいろ考えた。


竣くんは、何か訳があって私を避けているのかもしれないけど、着信拒否までする理由が思い浮かばない。


考えても考えても、連絡がとれない限りわからない。


やっぱり、斉藤さんと出かけたことが、許せなかったのかな。


もう12月で、世の中はクリスマス一色で。


去年のクリスマスは、竣くんの家でツリーを飾って、初めてエッチして、お泊まりした。


たった1年で、こんな風に離ればなれになるなんて、思わなかった。


カバンを手探りで取って、キーホルダーを握った。


竣くんがプレゼントしてくれた、大切なもの。


多機能ペンも鉛筆も、試験本番で使うって決めていた。


竣くんのことを、思い出さない日は一日もなかった。


キーホルダーやペンや鉛筆にふれなくても。


勉強する手を休めるたびに、竣くんを想った。


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