桜の季節、またふたりで
2月下旬、第一志望大学の合格発表があった。


ネットでも見られるけど、あえて大学まで見に行った。


家から電車で通える範囲で、しかも乗り換えなしで行ける大学は、ここしかない。


交通費や学費のことを考えると、どうしても第一志望に合格したかった。


受験票を持ち、掲示板の前に立った。


怖くて、前が見られない。


まわりでは、合格した人たちが声をあげて喜んだり抱きあったり、写真を撮ったりしていた。


大きく息を吸い、自分の番号を探した。


動揺してあまりにも離れた番号から探してしまい、時間がかかったけど。


「あ、あった・・・」


自分の番号が、光って見えた。


何度も何度も確認して、写メ撮って、歓喜の輪から離れて一人喜びをかみしめた。


そして、写真と一緒に、


『第一志望の大学に合格したよ。


竣くんのおかげ、ありがとう』


とメールした。


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