桜の季節、またふたりで
「美春ちゃん!」


斉藤さんが走ってきて、


「どうだった?」


と恐る恐る聞かれた。


「合格でした」


「あー、よかった!


美春ちゃんの成績なら大丈夫だって思ってたけど、すごいな。


おめでとう」


「ありがとうございます、斉藤さんのおかげです」


「わかんないことは、なんでも聞いて。


俺も4月から楽しみだな」


斉藤さんが、そうするのが当たり前のように、私の頭をなでた。


斉藤さんからしたら、勉強を教えた生徒が頑張ったんだから、褒める意味で頭をなでたんだろうけど。


私にとって、頭や髪をなでてくれるのは、竣くんだけだから。


反射的に、斉藤さんの手から逃げてしまった。


「あっごめん、イヤだった?」


「えっと、その・・・驚いただけです」




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