桜の季節、またふたりで
竣くんと会えなくなった9月の出来事も、まどかには話していた。


だから、私が勉強にうちこみすぎて、入院するほど体調を崩したことも、竣くんからの連絡をいつまでも待っていることも、全部知っていた。


卒業式の夜にまどかの家に泊まることになったのは、


「私からの合格祝いを美春にあげたいんだけど、どうしても私の部屋じゃないとあげられないから」


って一歩も譲らないから、他にすることもないし、半分仕方なく応じた。


まどかのお母さんの手料理をごちそうになり、お風呂に入る前にまどかの部屋へ向かった。


「美春、ここに座って」


ドレッサーの前の椅子に、強制的に座らされた。


「もう高校卒業したんだし、大学デビューするためにも、私のテクを全部教えるからね」


私の顔半分を使って、下地からファンデーション、アイメイクに眉にチークまで、一通りまどかが仕上げてくれた。


「ほら、美春、何もしなくてもかわいいけど、メイクすると大人のオンナって感じでしょ?」



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