桜の季節、またふたりで
イタリアンに着くと、予想以上にきちんとしたお店で、斉藤さんは予約してたらしく、窓際の夜景がキレイそうな席に案内された。


斉藤さんに言われるままに同じコースを頼み、ワインは飲めないからソフトドリンクでなんとなく乾杯した。


途切れることなく会話が続き、デザートとコーヒーが運ばれてきた。


「美春ちゃん、大学入ってから誰かに告白されたりした?」


「いえ、ぜんぜん」


「まだ、高校の時の彼氏とつきあってるんだ」


・・・なんて言おう。


竣くんから別れようって言われたわけじゃないけど、つながっているのかと聞かれたら答えづらい。


「えっと、実は、高3の途中から会えなくなってしまっていて。


でも、まだ好きなんですけどね」


「そっか、だから俺と勉強ばっかしてたんだ」


「結果的に希望の大学行けたんで、良かったですけどね」





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