桜の季節、またふたりで
何も返事ができなかった。


カズは、私が今でも竣くんのことを想っていることも、知ってたんだ。


こんな気持ちのままなのに、カズは3年以上待っててくれた。


だけど、竣くんの部屋の鍵と、竣くんからもらったキーホルダーは、竣くんのことを忘れられるまで捨てたくなかった。


思いっきり力を入れて、アパートの鍵を外した。


カズは何も言わなかった。


微妙な空気のままで、部屋の鍵を閉めた。



引っ越し先で、新しい鍵をキーホルダーにつけた。


新しく買ったベッドと冷蔵庫が届いてから、荷物を片づけた。


今度の部屋はワンルームだけど収納が多くて助かった。


でも、ベッドと小さなダイニングテーブルを置いたから、狭いけど。


片づけが終わり、近所の散策も兼ねてカズと食事に行った。


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