桜の季節、またふたりで
翌日の日曜の午後に、カズは帰っていった。


「戸締まりちゃんとしろよ」


「うん、わかった」


「本当は、もう少し遅くまでいたかったけど、仕事があるから」


「手伝ってくれてありがとう」


「じゃあな」


「あっ、カズちょっと待って」


私は、クローゼットからキーホルダーを取り出した。


「これ、ここの合鍵。


何かあったら、お願いね」


「何かって、何だよ」


「いや、その、なんとなく・・・」


「じゃあ今度は、突撃しよっかな」


「遠いけど、いつでも来てね」


「わかった、ありがとな」


カズが帰ると、急に静かになった。


これから私は、新しい生活を始めるんだな。


キーホルダーと鍵だけが、竣くんの面影。


いつか、写真みたいに奥にしまえる日がくるのかな。


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