桜の季節、またふたりで
「美春ちゃん、コンビニでは話してくれるけど、連絡ぜんぜんくれないから、俺もガマンできなくなって、今日はあがってくるの待ってたんだ。


ストーカーみたいなことして、ごめん。


だけど、ふたりでゆっくり話したかったからさ」


「どうして、ふたりで話したいんですか?」


「決まってんだろ、美春ちゃんのことをもっと知りたいから」


もっと知りたいって、どうして?


私のことを知っても、何の得もないのに。


そう言えばいいのに、言ったら今の関係が壊れてしまうのが怖くて、何も話せない。


「髪、まだ濡れてるんじゃない?」


五十嵐さんの手が、私の髪にそっとふれた。


そこだけ電流が走ったみたいになって、動けなくなってしまった。



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