桜の季節、またふたりで
車の窓ガラスを叩きつけるような雨は、やむ気配がなくて。


車内のデジタル時計を見たら、17:17だった。


「はい、じゃあ、もう少しなら」


「よかったー、俺、嫌われてんのかと思ってたからさ。


コンビニではしゃべってくれるのに、連絡してくれないし。


これじゃ、ただの常連客だよな、とか。


もしかしたら、美春ちゃんからは連絡しづらかったかもな、とか、いろいろ考えた」


「連絡する必要性を感じなかったので、連絡しなかっただけです」


あーもう、どうしてこういうかわいくない言い方しかできないんだろう。


本当は、連絡したくても、する勇気がなかっただけなのに。


・・・あれ?


私、五十嵐さんに連絡とりたいって思ってたんだっけ?


「ごめんなさい」


素直に、謝罪の言葉が口から出てきた。


「なんで謝んの?


俺は何も気にしてないけど」


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