桜の季節、またふたりで
平日は仕事を頑張って、週末で竣くんとのんびりして、っていうペースは、やってみると意外と快適だった。


お互いの部屋に相手の荷物が少しずつ増えていき、特に買い足す必要もなくなった頃。


「美春の誕生日、もうすぐだな」


土曜日、竣くんの部屋でコーヒーを飲んでたら、竣くんがカレンダーを見てつぶやいた。


「ほんとだ、すっかり忘れてた」


「なんか、欲しいものある?」


「ううん、特にはないかな」


「なんだよ、張り合いないな」


「竣くんが選んでくれたものなら、なんでもいいよ」


「思いっきり平日だもんな」


二人とも休みじゃない、金曜日だ。


「たまには外食するか、店探しとくよ」


「うん、楽しみにしてる」


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