桜の季節、またふたりで
誕生日の前日、竣くんが知らせてくれたお店は、銀座にある高級店だった。


困ったな、何着ていけばいいんだろう。


木曜の夜、洋服を引っ張り出して悩んだあげく、淡いピンクのワンピースにベージュのジャケットを羽織ることにした。


金曜日、会社のエントランス1階でエレベーターを待っていたら、


「美春おはよ、なんか今日オシャレじゃない?」


美海ちゃんが話しかけてきた。


「美海ちゃんおはよう、実は今日誕生日で、彼とごはん食べに行くから」


「えーっそうなの、早く言ってよ、お祝いするのに」


「いいよ気持ちだけで」


「じゃあさ、ランチおごるよ。


たいした金額じゃないけどさ。


あっ、啓太も誘おうっと」


「俺がどうかした?」


「啓太おはよ、ちょうど良かった。


今日美春の誕生日でね・・・」







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