桜の季節、またふたりで
「失礼いたします、お連れ様をご案内いたします」


個室の扉を開けると、スーツを着た竣くんが座っていた。


「少々お待ちくださいませ」


店員さんが出ていくと、竣くんは照れくさそうに笑っていた。


「竣くん、スーツ初めて見た。


すごくカッコいいからビックリ」


「美春の誕生日だし、たまにはな。


美春もワンピース似合ってる」


いつもと違う雰囲気と服装で、少し緊張していた。


シャンパンで乾杯して、コース料理を食べながらたくさん話した。


お互いの仕事のこと、同僚のこと、テレビドラマのこと、おいしかった食事のこと。


< 210 / 231 >

この作品をシェア

pagetop