桜の季節、またふたりで
「竣くんにとって、結婚ってどういうイメージなの?」


「そうだな・・・先輩に聞いたりして俺なりに感じたのは、恋人から家族になって、いつでも帰れる大切な場所ができるっていうことかな」


「大切な場所、かぁ・・・」


「長い人生を一緒に暮らすってことだから、もちろんケンカもするだろうし、生活の細かいこととかで食い違いがでてくるだろうけど、そうなってもお互い歩み寄って支えあえるのが理想だよな」


竣くんが、結婚を意識してるなんて思ってなかった。


結婚は、紙切れ1枚でできることだけど、そんな軽いことじゃないし。


「竣くん、私は今まで結婚したいと思ったことがなかったから、ちょっと考えてみる。


それでもいい?」


「いいけど、前向きに考えてくれよ」


「プロポーズ、うれしかった。


ありがとう」


竣くんは、いつもの優しい顔で笑っていた。


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