桜の季節、またふたりで
「ふーん、いよいよ結婚かあ」


「まだ決まったわけじゃないけど」


まどかにジェルネイルをやってもらいながら、先日のプロポーズのことを話した。


「結婚はまだまだ先だって思ってたし、具体的にどうなるかイメージわかなくて」


「それはさ、未経験のことなんだから、わからなくて当たり前じゃない?」


「よく考えてみたら、両親は離婚してて普通の家庭とは違うし、結婚したいと思ったことがなかったかも」


「五十嵐さんも親が離婚してるんだっけ」


「そう」


「美春を誰かに取られちゃう前に、早く結婚して家族になりたいっていうのが本音なんじゃないかな」


「家族、かぁ・・・」


「ほら、ふたりだって結婚したら家族なんだから、公的に認められた絆ってこと」


「同棲は想像できるんだけどね」


「お互い、承諾をもらうはずの両親がいないなら、なんの障害もないんだから焦ることないけど、早めに返事しないとね」


「うん」


まどかは、ウェディング用のネイル考えなきゃ、って張り切ってた。


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