桜の季節、またふたりで
返事を先延ばしにするつもりはなかったけど、誕生日にプロポーズされてからそのまま週末になって、竣くんと普段通りに過ごした。


23歳の誕生日は、食事をプレゼントしてもらって、プロポーズされて、これ以上の幸せはなかった。


いつものようにお互いの部屋に泊まって、日曜の朝、私の部屋から竣くんは出勤していく。


でも、結婚したら、その移動の手間はなくなるんだよね。


そしたら、もっとゆっくりできるし、休みが合わないのもカバーできる気がした。


問題は、どっちの部屋に引っ越すか、もしくは改めて別の部屋を探すか、かな。


なぜか、結婚に関しては、感情的なことよりも先に、部屋のこととか家具のこととか、実用的なことばかり考えてしまう。


普通の女子なら、結婚に対して何らかの理想やあこがれみたいなものを持っているはずなのに。


どうも私は、そういうとこが欠落しているみたいだ。


もちろん、竣くんのことは好きだし、ずっと一緒にいたいって思ってる。


だけど、その気持ちはストレートに結婚へ結びつかないんだ。



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