桜の季節、またふたりで
「それは、えっと・・・」


「ごめん、困らせるようなこと言って。


会いたくなったら、俺から連絡するから」


また、例の憎めない笑顔でさらりと言う。


「じゃあ、そろそろ行こっか」


車内は、意外なほどキレイで、もっとヤンチャな車をイメージしていたけど、ごく普通の車だった。


安全運転だし、見た目のイメージとギャップがありすぎるよ。


「美春ちゃん、俺と車が合わないとか思ってない?」


五十嵐さんは、透視ができる人なんだろうか。


「いえ、そんなことは・・・」


「いいって、外見とイメージ違うってわかってるから。


だけど、車を運転することで一番大事なことって、安全運転だろ?


俺は、それを最優先してるから」


「えっ、じゃあその茶髪は・・・」


「それはさ、まあ、なんつーか、モテるかと思って」


< 22 / 231 >

この作品をシェア

pagetop