桜の季節、またふたりで
仕事終わり、ドッと疲れが出て、だけどまっすぐ家に帰りたくなかった。


金曜日だったから、街中は人が多くて、みんな楽しそうで。


私は一人で、することもなくて。


今日は面倒だから、デパ地下で何かお惣菜でも買って帰ろうかな。


そう思って行ったけど、結局何も買わずに帰ることにした。


なんで、こんな風にケンカになっちゃったんだろうな。


私は、何でも話してほしいだけなのに。


告白されてるのを目の当たりにして、ショック受けたのは私なのに。


そんなことを、何度も何度も考えながら、家に着いた。


「・・・ただいま」


竣くんはまだ帰ってないと思ったのに、部屋が明るかった。


「美春、おかえり」


なんか、顔を見るのもダメな気がして、顔をそむけたまま着替えようとした。


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