桜の季節、またふたりで
竣くんは、私を後ろからギュッと抱きしめた。


「美春、まだ怒ってる?」


「・・・怒ってるっていうか、話してくれなかったのがイヤだったから」


「ごめんな、変に心配かけるのも悪いな、って思ったから。


まさか、美春が見てるなんてな。


やっぱ、隠し事はできないんだな、って反省した」


竣くんは、私の頬に頬をあわせて、


「美春が笑ってくんないと、俺イヤだ」


甘えた声でおねだりした。


そんなこと言われたら、もう怒れないじゃん。


「・・・いつまでも怒ってて、ごめん」


「俺が悪かったんだから、ごめんな。


あの子にはちゃんと断ったから。


驚いたよ、俺のこと好きだなんて想像もしてなかったから」


「竣くんはカッコいいんだから、隙をみせたりしたらイヤだ」


「そんなことしねーよ」


竣くんは抱きしめていた腕をほどくと、私に何度もキスをした。


「俺は、美春しか見えないから」


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