桜の季節、またふたりで
「かわいかったし、タイプだったし、一目惚れだったのもあるけど、それ以来気になって、美春ちゃんが通るたびに目で追ってた。


だいたい美春ちゃんは一人だったから、声をかけたくてしょうがなかった。


俺と一緒なんじゃないか、さみしい思いをしてるんじゃないか、って心配だった。


なんだかんだで、何もできないまま一年たって、そしたらプリントが飛んできて、声をかけた」


五十嵐さん、さっきさりげなくすごいこと言ってたから、私は話の内容を理解するのに必死だった。


五十嵐さんは、左を向いた。


私の顔を見ながら、手をつなぎながら、はっきり言った。



「美春ちゃん、ずっと前から好きだ。


年上だけど、俺とつきあってほしい」



どうしよう。


五十嵐さんと一緒にいると、楽しいけど。


もしつきあうことになるなら、正直に自分のことを話してくれた五十嵐さんに、私も家のことを話さないといけない。


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