桜の季節、またふたりで
図書館を出て携帯を見たら、五十嵐さんからメールがきてた。


『美春ちゃん、これから会えない?


もちろん、送迎つきで』


時計を見たら、まだ18時だった。


ニヤけてる顔を自覚しながら、


『いま、図書館を出たところ。


ベンチに座って待ってる』


すぐに返事を送信した。



「美春ちゃん、お待たせ」


「ううん、だいじょうぶ」


この頃になると、いつのまにか敬語を使わないようになっていた。


「あのさ、美春ちゃんは高校卒業したら何かしたいことあんの?」


助手席に座ってアイスティーを飲んでいる私に、五十嵐さんは唐突に聞いてきた。


「どうしてそんなこと聞くの?」


「いや、そういえば聞いたことねーな、って思っただけ。


高2って、進路のこととか悩む時期だろ。


俺でよければ、相談にのるから。


・・・っていうか、好きな子の進路が気になるだけ」


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