桜の季節、またふたりで
「えっと、あの、ね、その・・・」


「美春は嘘が下手だよな。


なんかあんだろ?」


イタズラをしかけてるような笑顔で、私の両頬を手ではさんだ。


「わ、わかった、話すから。


あのね、実は、夏から母の職場の先輩の大学生の息子さんに、勉強みてもらってて。


何もないけど、竣くん気にするかと思って、言えなかった。


ごめんなさい」


「すげーな、美春は大学目指したいんだろ?


がんばれよ」


「怒らないの?」


「美春の夢をかなえるためなら、必要だろ。


残念だけど、俺は教えてやれないしな。


お母さんには話したのか?」


「奨学金もらえる成績とれなければ、あきらめる」


「そんな大事なこと、結果が出るまで話さないつもり?」


「うん、母とはうまく話せなくて」


「やりたいことが決まってるなら、話せるだろ。


きっと応援してくれるだろうし、たった一人の家族だろ」


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