桜の季節、またふたりで
そして、迎えたクリスマスイブ。


私は、バイト代で竣くんにキーホルダーを買った。


車のキーもつけられる、カラビナタイプのにした。


誰かのためにプレゼントを選ぶのは、初めてかもしれない。


小さい頃は、両親に絵を描いたり手紙を書いたりしたのかもしれないけど、物心ついてからはそんな余裕なかった。


キーホルダーの入った小さな箱は、緑色の包装紙でラッピングされていて、見てるだけで幸せな気持ちになった。


何を作るか迷ったけど、ハヤシライスとサラダにした。


奮発して、高い国産牛を買おうと決めていた。


それだけで、特別な感じがした。


竣くんから食事代としてお金を預かっていたけど、それには手をつけずに返すつもりだ。


夕飯も、プレゼントのひとつだと思ったから。


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