桜の季節、またふたりで
そんなことを考えながら、ハヤシライスを作っていた。


もうそろそろ、竣くんが帰ってくる時間だ。


夕飯を作り終え、エプロンを外して、携帯を開いた。


竣くんからの連絡はなかった。


「遅いな、竣くん」


遅くなるときは、いつもきちんと連絡してくれるのに。


手持ちぶさたになり、ベランダに出て、外の景色を眺めていた。


冬は寒いけど、冷えた空気が頬をピリピリ刺激する感じは嫌いじゃない。


目の前に広がる家の照明やイルミネーションが、普段よりも明るく感じた。


その時突然、背後の部屋の明かりが消えた。


まさか、停電?


ブレーカーが落ちるようなことはしてないし。


まわりの家の明かりはついてるのに。


数分続いた暗がりに目が慣れてきた頃、ゆらめく灯火が近づいてきた。


・・・もしかして、キャンドル?


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