桜の季節、またふたりで
「・・・うん。


私も、竣くんのこと大好きだから、はじめては竣くんがいい」


「俺、もう戻れねーぞ」


竣くんは、イスごと私を横向きにして、たくさんキスしてくれた。


私からも、同じくらいたくさんのキスをして。


気づいたら、ベッドに寝かされていた。


「美春・・・」


竣くんの唇が、私の唇から離れていき、首筋をたどって胸の近くまでなぞってゆく。


カーディガンのボタンがひとつずつ外されて、私は初めての感覚に麻痺していた。


『力を入れちゃダメだからね!』


まどかのアドバイスを頭の中で繰り返しながら、竣くんの背中に手をまわした。


竣くんは、まるで割れ物を扱う時みたいに、私に優しくふれた。


真冬だというのに、裸なのに、抱きあっていると寒さを感じなかった。


むしろ、体の芯から熱を帯びて、とけてしまいそうだった。


< 64 / 231 >

この作品をシェア

pagetop