桜の季節、またふたりで
面談が終わってから、夜勤へ向かうお母さんと別れて、まっすぐ竣くんの勤務先に向かった。


「竣くーん」


名前を呼ぶと、作業中の車の下から出てきてくれた。


「美春、おかえり」


少し汚れた顔で、でも最高にかっこいい笑顔で出迎えてくれた。


「美春ちゃん、おかえり」


整備工場の社長が、わざわざ奥から出てきてくれた。


「こんにちは」


「なんか楽しそうだな。


いいことでもあったか?」


「はい」


「竣、キリのいいとこで休憩していいぞ」


「ありがとうございます」


社長さんも奥さんも、竣くんと私にいつもあたたかく接してくれる。


「美春、面談どうだったんだ?」


「うん、希望をちゃんと伝えられたよ」


「美春ちゃん頭いいのに、竣なんかとつきあってていいのか?」


「社長、それはひどくないっすか?」


「竣くんには、竣くんにしかできないことがあるからすごいんですよ」


「はいはい、ごちそうさん」



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