桜の季節、またふたりで
「美春、五十嵐くんとつきあうようになって、変わったね」


「そうかな?」


まどかが、一足先に誕生日お祝いさせて!とケーキを食べに連れてきてくれた。


少し歩くけど、ケーキがおいしい喫茶店があるんだよ、って。


「うん、かわいくなった。


やっぱ、経験すると女は変わるよね」


「そんなことないって」


「五十嵐さんみたいな人と、最初に出会えてよかったね」


「うん」


「それに比べてさー、進ちゃんってばヒドイんだよ」


進ちゃんはまどかの彼氏で、話を聞いてる限りではケンカをよくしてるみたい。


でもそれは、進ちゃんのヤキモチが原因で。


まどかはカワイイし、男友達も多いから、心配してるだけだと思う。


まどかの、愚痴なのかノロケなのかわからない話を聞きながら、そういえば竣くんとケンカしたことがないって気づいた。


竣くんは5つも年上だし、私なんてケンカの対象にもならないのかも。


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