桜の季節、またふたりで
「わかりました、どこでやりますか?」


「駅前のカフェでどう?


コーヒーおごるよ」


そのまま、斉藤さんと一緒に駅へ向かった。


カフェはけっこう混んでいて、テラス席でアイスコーヒーを注文した。


「ちょっとメールしていいですか?」


「彼氏に?」


「はい」


「仲いいんだな」


「はい、とっても」


「メールどうぞ」


「ありがとうございます」


竣くんに『斉藤さんに模試のチェックしてもらってから帰るね』ってメールした。


いつものように、すぐ返事がくると思ったから、携帯をそのままテーブルの上に置いた。


でも、返事はいくら待ってもこなかった。


アイスコーヒーがきても、答え合わせが終わっても、こなかった。


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