桜の季節、またふたりで
竣くんちに向かう間、何度も電話をかけた。


でも、呼び出し音が鳴るだけで、出てくれなかった。


もしかして、事故にでもあったとか?


今ごろ救急搬送先で、電話に出られないとか?


悪い想像ばかりしながら、竣くんちに着いた。


インターホンを鳴らしてみても、反応はなかった。


合鍵でドアを開けて、部屋に入った。


竣くんは、ベッドで眠っていた。


「・・・よかった、竣くんいてくれて」


竣くんがいつも私にしてくれるように、竣くんの髪をなでた。


その時、竣くんの目がパチッと開いた。


「あ、ごめんね、起こしちゃった?」


竣くんは私から視線をそらして、何も言ってくれなかった。


「まだ時間あるし、寝ててね」


その場を離れようとした時、


「美春、今日誰と一緒にいた?」


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