桜の季節、またふたりで
竣くんの声は、今まで聞いたことないような冷たい声だった。


「模試終わったあと、誰と一緒だったんだよ」


「ああ、勉強教えてもらってる斉藤さんだけど?」


「俺なんかより、あのスーツの男の方が、美春にはお似合いじゃん」


そう言うと、私に背中を向けてしまった。


「えっ、竣くん会場の近くにいたの?」


「夜まで遊べると思って迎えに行ったけど、見たくなかったもん見ちゃったし」


竣くんは相変わらず、背中を向けたまま。


「斉藤さんはバイトで試験監督してたみたいで、駅前のカフェに行って模試の答え合わせしてただけだよ。


竣くん、声かけてくれれば良かったのに」


「美春には、頭のいい大学生がいいんじゃねーの」


「竣くん、何言ってんの?


斉藤さんは、竣くんと私がつきあってることも知ってるんだよ。


私が好きなのは、竣くんだけなのに」


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