桜の季節、またふたりで
その日は、予定通り花火大会へ出かけた。


まどかと進ちゃんとも合流して、4人で笑ってしゃべって、楽しかった。


「仲直り、早すぎじゃない?」


まどかに耳うちされたから、


「まどかのおかげだよ」


男子ふたりに聞こえないように、小声で返事した。


進ちゃんがまどかをナンパしてつきあい始めたのが、去年の夏だった。


一年なんて、本当にあっという間だ。


楽しかったり忙しかったり、毎日が充実してると時間がたつのが早いって、何かで読んだ気がする。


まどかたちと別れて、私たちは竣くんのマンションに向かうために、電車に乗っていた。


花火大会の余韻が残った車内は、たくさんの人で混雑していた。


「花火、キレイだったね」


「また来年も来ような」


まわりの人たちもしたであろう約束を、竣くんと私も交わした。



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