桜の季節、またふたりで
「なんか、ごめんね。


私より竣くんの方がずっと、きちんとしてるよね」


「そっか?


美春は、いい意味で抜けてて、ちょうどいいと思うけどな」


「抜けてるって、褒めてないけど?」


「褒めてるよ、あんまり完璧すぎんのも、お互い疲れちゃうだろ」


「9月9日だったんだ、もうだいぶ過ぎちゃったね」


「一年たっても、何年たっても、俺は美春のことがずっと好きだから、安心しな」


竣くんは、優しく髪をなでてくれた。


竣くんを好きになって、よかった。


「私も、竣くんのことがずっと好きだよ」


「そんな顔すんなよ、襲いたくなる」


キスから始まって、ひとつにつながる。


お互いのすべてを知って、どんどん好きになっていく。


この頃までは、おだやかな毎日を過ごしていた。


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