ライ【完】
珍しいお客さん
「志穂ちゃんごめんな~!」

翌日大学へ行くと

入り口で偶然蒼先輩と遭遇した。

コンパの先輩だ。

私を見つけた蒼先輩は

駆け寄ってくると

私に向かって謝り始めた。

「志穂ちゃんお酒強いとずっと思って、これくらい大丈夫だろーって。」

「大丈夫ですよ~!無事帰れましたし…」

「千鳥足で歩く志穂ちゃん見てあー、これが千鳥足なんだって初めて見たから面白くて、それで俺―「あーもー良いですよ。先輩!私の話も聞いてください!」」

蒼先輩の悪い癖は

自分の世界に入り込んじゃうと

なかなか抜け出せないところ。

私は謝り倒す蒼先輩に

「そろそろ行かなきゃヤバイですよね?先輩がとってる講座の教室、ここからめちゃくちゃ遠くないですか?」

と言うとそうだった、という顔で慌てだした。

「とにかく悪かった!これからはお酒強要しません。」

「お願いしますよ。」

「じゃ、志穂ちゃんも授業頑張って。」

そう言うと蒼先輩は走って行ってしまった。

私も移動しなきゃ。

この時、蒼先輩が私の方を振り返って

何かを言ってたらしいのだか、

私は知らなかった。

< 19 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop