ライ【完】
「あら、市ノ瀬さんじゃないの?」

そう言った彼女はとても驚いていた。

佐伯のおばあちゃんは

私の恩人。



――2年前

私がここにバイトに入った時のことだ。

私は毎日毎日店長に怒られていた。

というのも、

仕事が遅い。

トロトロすんな。

やる気がないなら来るな。

そんなことを毎日言われていた私。

毎日毎日陰で泣いて、

それでもやめるのは店長に負けたということを

認める気がして。

だから、やめずにシフトが入っている日は毎日

バイトへ行った。

ある日、

「すみません、お嬢ちゃん。このお菓子売ってないかしら。」

商品を並べていたときに

そう言って声をかけてきたのは

佐伯のおばあちゃんだった。

おばあちゃんは私に写真を見せると

「この近辺のスーパーに行ってもなかなか見つからなくてねぇ…孫が好きなお菓子だからどうしても見つけたくてね…」

と申し訳なさそうに言った。

「少々お待ちください。」

そう言って私はお菓子コーナーを見に行った。

棚の端から順番にお目当てのお菓子を探す。

お菓子はなかった。

でも、まだ出してないだけかも…

そう思って、おばあちゃんのところへ

もう一度戻ると

「すみません、もしかしたらまだ棚だししてないだけかもしれないので、奥で確認してきますね。」

と言って奥に確認しに行こうとしたときだった。

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