ライ【完】
今日は何だか

色々な人に会ったなぁ…

バイトを終えてライと一緒に帰りながら

ぼんやりとそんなことを考えた。

「志穂?」

そんな私にライが心配そうに声をかける。

「どうした?なんかボーッとしてるけど。」

「ううん、何でもないよ。何か今日は知ってる人にたくさん会ったなって思っただけ。」

といってもライ合わせて3人だけだけどね。

私が答えると

「ふーん。そっか。」

とライはそう言って興味がそれたのか

道端に落ちてた石を蹴りながら

「今日の夕飯何?」

と話題を変えてきた。

「グラタンだよ~」

と答えるとよっしゃーと

喜んだライ。

グラタン好きなのか。

「ねぇ、ライ。」

私はずっと聞きたかったことを質問した。

「ライは何でここに来たの?」

高校中退の話はしたくないだろう。

だからせめてこの話だけでも…と

思ったのだけれど。

「うーん、内緒。」

とライは話したくなさそうに

そう答えるだけだった。

やっぱり、私ライがわかんないや。

何考えてるのかさっぱり。

――それでも、私

もっとライのことが知りたい。

芽生えた気持ちが何なのか

もう20年間生きてるのだから

それくらい分かる。

私は

ライのことが好きだ。
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