ライ【完】
え?

突然の出来事にまた頭が混乱する。

「ライ?」

「ごめん……俺のせいで…本当にごめん。」

そう言って徐々に私を抱き締める腕に

力を込めるライ。

スズッと鼻を啜る音が聞こえるから

きっと、今私は彼の顔を見てはいけない。

私は彼の背中に腕を回すと

「大丈夫だよ。ライ。大丈夫。」

と背中を優しく叩いた。

何が大丈夫なんて分からない。

それでも、

今はそう言うしかなかった。
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