ライ【完】
「着いたー!!」

オフシーズンの海岸にたどり着き

私は伸びをする。

もちろん、私とライ以外誰もいない。

「志穂寒いよ!!早く他のところ行こう!」

そう言うライを私は無視して

靴と靴下を脱いだ。

「何してるんだよ!?」

「元カレの真似ー!!」

そう答えて私は海に近づいた。

「La~~lalalala ~~La ~」

私は大きな声で歌い始める。

「その曲…」

ライはそこまで言うと

口を閉じた。

「あ、知ってる?」

その問いにコクりと頷いたライ。

「これね、思い出の曲なの。元カレとねいつも歌ってた。」

そう言うとライは

「そうなんだ。」

と言った。

――あ。

私はさっきからやってしまってた

過ちに気づく。

何今好きな人の前で元カレの話してんの!?

私のバカ!!

「ライ!ごめ―「よく――覚えてるね。歌もこの場所も。」」

急いで謝ろうとしたところ

ライによって遮られた。

その声色は怒っている感じではなく…

何で?

「ライ、怒んないの?」

「うん。だって、俺まだ志穂とカレカノじゃないし。」

その言葉にグサッとくる。

そうだね。

確かに私とライはカレカノじゃない。

「―それに、俺、元カレの話してる志穂好きだから。」

そういうライに

今度はこっちがビックリしてしまった。

「え!?何言ってるの!?」

「何って…そのままの意味だけど。」

「意味わかんないよ!!」

私がそう取り乱すと楽しそうに笑ったライ。

「俺は、どんな志穂も好きだよ。」

私の心臓が大変な事になっているというのに

ライはそう追い討ちをかけた。
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