ライ【完】
「――ありがとう。」

ライは歌い終わるとそう言った。

お礼なんてそんな…

「ありがとうって、私、元カレとの思い出の場所に連れてきたんだよ?それなのに何で―?」

「それでも、嬉しかったよ。」

そう言ったライは笑顔だった。

私はその笑顔に違和感を覚える。

待って。ライ。

ライってこんな風に笑わないよね。

ねぇ、ライ。

今、何を考えてるの――?

「――連れてきてくれてありがとう。志穂。」

そう続けたライ。

ねぇ、ライ。―――ライ。

…あと2日だからな

あの言葉の意味が分かった気がする。

ライはこの後、何処に行くの――?

「次の場所行こっか。」

そう促した彼に

私は頷くことしか出来なかった。
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