ライ【完】
昼食を食べ終えて

ショッピングモールに来た。

「志穂――どうした?さっきから顔色が優れないけど…」

隣でライが心配そうに言う。

「え?――そんなことないよ!大丈夫!」

私は自分が思っていることに

気づかれたくなくてそう笑顔で言った。

本当は大丈夫じゃない。

ライは気づいてないって

思ってるのかもしれないけど、

私は気づいてた。

ライが――時折泣きそうになっているのを。

デートがつまらなかった?

やっぱり元カレの話が嫌だった?

――きっとそんな理由じゃない。

きっとライは

私に隠していることを打ち明けられないでいて

それを私に打ち明けるのが恐くて

泣きそうになってるのだと思う。

私はそんなライ見たくないんだよ。

心から笑うライを見ていたいのに…

「志――「ごめん、大丈夫と思ったんだけど…少し疲れちゃったみたい。少し座ってるね。」」

これ以上私が大丈夫だと言っても

余計にライに気を使わせてしまう。

だから、私はライにそう言うと

返事を聞かずに外のベンチに向かった。

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