ライ【完】
「志穂?」

暫く下を向いて考えていた私は

上から声をかけられてライが帰ってきたのだと

分かる。

「ストレートティーで良かった?」

そう言ってストレートティーを渡してくれた

ライにありがとうとお礼を言った。

ライの手には缶コーヒーがあった。

「お金…」

「いいよ。」

ライはそう言うと私の隣に座る。。

プルタブが開き、

コーヒーの良い香りがした。

「ねぇ、ライ。」

私は素直に率直に

聞きたいことが聞けなくて。

「今日のデートつまらなかった?」

と聞いた。

「そんなことない!」

即答するライ。

「楽しいに決まってるだろ!何でそんなこと聞くの?」

ライはそう言うと私の方にまた少し近づいた。

「だって…」

言葉を続けられない。

理由を言ったらライをまた

傷つけてしまうんじゃないかって思ったから。

でも、

「だって…ってそれじゃわかんないよ!志穂!」

ライはそんな私の様子を見て不機嫌そうに

そう言い、続ける。

「言いたいことあるならはっきり言えよ!」

「だって、ライが泣きそうなんだもん!!」

私は彼に向かって怒鳴った。

「ねぇ、ライ。何で何も話してくれないの?ライは私に何を隠してるの?教えてよ!ねぇ!」

黙って下を向いてしまったライに

私の口は止まらない。

「何時になったら私に話してくれるの?私はずっとずっと待ってたよ。それなのに…あと2日なんでしょ!」

「どうしてそれを…」

「聞こえたの!昨日からずっとこの事ばかり考えてた。何があと2日なの?って。だけど、何も言ってくれない。ライは絶対に知ってるのに、私に何も言ってくれない。そして自分だけで抱え込んでいつもいつも泣きそうな顔して…私ってそんなに役立たずなの?」

「それは―「前に言ったよね!私はライの一番の味方だし、ライは私の大切な人だって!私だってライの役に立ちたいよ!私はライにとっての何なの?ただの保護者なの?それともバカなお酒の飲み方が分かってない二十歳の大学生ってだけなの?私は――」―違う!!」

ライの怒鳴り声に私は

ビックリして言葉を続けるのをやめた。

「――何でそうなるんだよ。志穂。」

こう言ったライの声は

とても悲しそうで。

「ラ――「俺も言ったよ。志穂は俺にとって一番大切な人だって。…だからもうこれ以上傷つけたくないんだ。」」

ライはそう言うと他の場所へ行ってしまった。
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