ライ【完】
――ビーン

音がした。

音の方へ顔を向ける。

―ビーン―――ビーン

それは、ライの中指と人差し指で奏でられた

ベースの音だった。

「ラ―――イ?」

うつ向いているため

表情が読み取れない。

それでも、ベースの音は止まず、

左手もネックの上を動いていた。

ライ、何を弾いてるの?

そう問いかける前に気付く。

この曲――――

私はライが奏でている曲をよく知っていた。

ふと、

高校時代の懐かしい思い出が思い出された。
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